お正月には「年神様(としがみさま)」が新しい年の幸福を授けるために降臨するとされています。「正月様」とも「歳徳神(としとくじん)」とも呼ばれる神様で、お正月はこの年神様をお迎えしてたくさんの幸せを授けてもらうための日本古来の行事です。
お正月の「縁起物」って?
お正月の「縁起物」と言われるものは全て「年神様」を迎えるための品々です。
まず玄関脇に飾られる「門松」は、年神様が迷わず我が家へ来て下さるための目印です。松の木は「神の宿る木」とされてきました。その松に縁起物の竹や梅が添えられて、現在の形になりました。
正月飾りの「しめ縄」も「年神様を迎えるための神聖な場所」であるという目印です。
「鏡餅」もお正月には欠かせない縁起ものです。大小二段のお餅は太陽と月、陰と陽を表しますが、「円満に年を重ねる」という意味合いもあります。
年神様へのお供えものであり、依り代です。
元旦の朝の「初日の出」は毎年拝みに行く人もいるのでは?新年の幕開けとも言えますが、年神様はこの日の出とともに降臨されると言われています。
おせちは縁起物?
お正月を迎えたら、年神様とともに新年を祝います。そのおもてなしのお供え物となるのが「おせち料理」です。おせちと言ったら「重箱」に詰めますが、正式には4段重ねです。かまどの神様に休んでいただくために作り置きしておけるものが中心です。
おせちの中の一品一品にも、きちんと意味が込められています。
「黒豆」…「まめまめしい」「まめに働くように」なんて語呂合わせで、おせちには欠かせない豆ですが本来「まめ」という言葉は「健康」を表す言葉です。家族の一年間の健康を祈る料理です。
「昆布巻き」…昆布は「喜ぶ」にも通じることから、健康長寿を祈る縁起物として正月の鏡飾りでも活躍しています。
「田作り」…関東では「祝い肴三種」の一つとされています。ちなみにこの三種は黒豆・数の子・田作りです。健康と子孫繁栄、豊作を願う料理です。
「数の子」…数の子はニシンの卵です。ニシン=二親 から多くの子が出る。めでたいと、古くから子孫繁栄を祈る縁起の良いおせち料理として使われてきました。
「えび」…エビは長いひげを持ち、腰が曲がっていますよね。ひげが長く伸び、腰が曲がるまで長生きする事を願う長寿の象徴ともいうべき料理です。
各家庭で「おせち料理」の種類に多少の違いはあれど、基本的な部分は同じです。全て、家族の健康と五穀豊穣を願う物ばかりです
縁起のいい初夢は?
1日の夜、または2日の夜に見るのが初夢と言われています。大晦日の夜の夢が初夢という説もあります。はっきりとした線引きはないので、私は「一番良かった夢」を初夢としています。
昔から「一富士二鷹三なすび」と言われてきましたが、意味は知っていますか?
「一富士」…立身出世の象徴。高い目標や理想を表す。
「二鷹」…大空を舞う姿から、自由な行動力や広がる可能性を象徴する。開運や夢の実現を表す。
「三なすび」…「茄子(なす)」は事を「成す」に通じます。財を「なす」子を「なす」という蓄財や子孫繁栄を表す。
富士山か鷹かナスの三択をピンポイントで見るのは難しくない!?と毎年思うのですが、実は「一富士二鷹三茄子」には続きがあるんです。
「四扇(しせん、しおうぎ)五煙草(ごたばこ)六座頭(ろくざとう)」
というのが縁起の良い初夢のさらなる選択肢!江戸時代の国語辞書にちゃんと記載があるんです。
「四扇」…扇の形は末広がりである事から縁起が良いとされる。
「五煙草」…タバコの煙は上へと上がります。煙が上昇していくさまが「運気上昇」に通じる。
「六座頭」…座頭というのは剃髪したお坊さんです。「毛が無い」=「怪我ない」にかけているとか…。
別の説として、「四葬礼五雪隠(よんそうろうごせっちん)」という選択肢もあります。
「四葬礼」…葬礼というのは読んで字のごとく「お葬式」の事です。もうここまでくると夢占いです。お葬式=死を連想させますが、「死」は「終わり」を表すと同時に「始まり」を象徴します。過去のトラブルや悩みを解消して新たなスタートを切ることができる予兆と捉えます。
「五雪隠」…トイレです。なんなら寝る前に水分摂りすぎると80%の確率で見れます。もし尿意もなくトイレの夢を見たのであれば、まず「排泄物」があったかどうかを思い出して下さい。夢で見る排泄物は金運のシンボルです。
新年早々、宝くじ買っちゃいそうですね!
まとめ
ちなみに「お年玉」も縁起物の一つです。もともとは年神様の魂が宿ったとされる「餅玉」を一家の家長が家族に分け与えたのが「お年玉」の始まりです。「御年魂」もしくは「御年玉」と書きます。
年神様の魂が宿ったお餅をお雑煮にして頂くことで、身体の中に新しい年の幸福や恵みを取り込んで来たのです。