冬は様々な感染症が多くて嫌になりますね。気温が低く湿度も低い環境はウイルスや細菌が蔓延するには最高の環境であるようです。冬の乾燥した空気にのって飛散するウイルスや菌は本当に多種多様です。子供がかかる病気と思い込んでいたら大人も感染してしまう病気もたくさんあります。
溶連菌に注意!大人も感染!
「溶解性連鎖球菌」というとあまり耳に馴染みはないですが、「溶連菌」といえば聞き覚えがあると思います。溶解性連鎖球菌に感染しておこる病気が溶連菌感染症で冬と春から夏にかけての期間、年に2回流行時期があります。
溶連菌には健康に支障のない菌から病原性の強い菌までさまざまな種類が確認されています。普通の風邪でも何百種類も存在しているわけですから、本当にウイルスや細菌というのは厄介ですよね。
2歳から12歳くらいまでの子供に多く見られる病気ですが、大人にも感染するんです。
まず子供たちの間で爆発的に流行し、家に持ち帰った菌で大人も感染するといった家庭内感染が主な感染拡大の流れですね。
とくに免疫力が低下している人・妊婦さんは感染しやすいようです。
溶連菌の感染経路は咳やくしゃみのしぶきによる飛沫感染と、手指などに付着した菌が口に運ばれる経口感染・接触感染です。
大人が感染すると抗体ができていることもあり、子供の症状よりも軽度であったりします。
溶連菌という自覚のないケースもあります。
「少し調子が悪い」程度では仕事も休まないですよね。そのため保菌したまま外出し、職場などで菌をばらまいてしまい感染を拡大させる結果になります。
症状が顕著に出てわかりやすい子供よりも、自覚症状の出にくい大人の方が質の悪い感染源となる恐れがあるんです。
少しでも咳が出たりするようなら、マスクは必ず装着しましょう。最低限のエチケットです。
大人の溶連菌・症状は?
溶連菌は2日~5日の潜伏期間ののちに発症します。喉の痛み、発疹、発熱するといった症状から始まります。
前述したように症状が出ない人もいます。保菌しているのに発症しない、でも感染だけは拡大させていくという最悪のパターンです。
大人が発症した場合も、子供の症状とほぼ一緒です。しかし子供よりも重症化する場合もありますから油断は禁物です。
のどや扁桃腺が菌に感染し、赤く腫れあがりひどく痛みます。発熱は38℃から39℃の高熱が出る人も。
小さな発疹がお腹や手足に現れてかゆみを伴います。
子供の溶連菌の症状で、「いちご舌」はよく知られています。舌が真っ赤になって表面にイチゴのようなブツブツが出る症状ですが、大人も例外ではありません。
頭痛、腹痛、嘔吐をうったえる人もいます。
症状の現れ方には個人差があり、だからこそ「風邪かな」なんていう素人判断は危険です。おかしいなと思ったら速やかに医療機関を受診しましょう。
アトピー性皮膚炎を持っている人は特に注意しましょう。
溶連菌によって出る発疹のかゆみによってアトピーが悪化する恐れがあります。かゆみが出るとどうしても掻きむしってしまいがちです。皮膚にキズができてしまうと溶連菌が傷口から入り込み、さらに悪化してしまいます。
寝ている間にかきむしってキズを作らないよう、爪は短く切っておきましょう。就寝中に気にならなければ、ミトンのような手袋をしておけば良いですね。
治療と予防法
溶連菌と診断されたら、ペニシリン系の抗生物質を処方してくれます。これを必ず飲みきってください。以前は2週間分処方されましたが、今現在は10日分処方されます。
薬を服用してからまもなく熱も下がり、のどの痛みも緩和されますが菌が死滅したわけではありません。そこで薬の服用をやめてしまうと、保菌したまま何度でも再発します。
熱が高い時は脱水症状にならないよう、水分補給を十分に行いましょう。のどに強い痛みが出るため、なかなか食事もままならない場合がありますが、水分の補給だけは必ずしましょう。
溶連菌には予防接種はありません。手洗い・うがいを徹底し、マスクを装着して感染を予防しましょう。
家庭内で感染者が出た場合、同じ食器やタオルを使ったりするのはやめましょう。
溶連菌はしっかり治し切らないと重大な合併症を引き起こす怖い細菌です。
リウマチ熱・腎炎(じんえん)・しょう紅熱・中耳炎など多数の合併症がありますが、中には死に至るケースもあります。
抗生物質を飲みきって完治しても、念のため病院で検査を受けておいた方が安心でしょう。
まとめ
学校保健安全法では出席停止の措置が必要と考えられる疾患に指定されていて、病院を受診した当日と翌日は登校・登園はできません。感染力が強い期間だからです。抗生物質を服用して24時間後には感染力はほぼなくなります。
会社に勤めている場合も同じように2日間の出勤停止が望ましいのですが、会社の規定もあるでしょうから勤め先に確認を取った方が良いでしょう。
発疹が出ている時は特に安静にしているようにしましょう。