冬は牡蠣が美味しい季節ですよね。おいしい生ガキの食べれるお店なんて聞いたらウキウキしてしまいますが、冬の生ガキは実は危険だったりします。ノロウイルス発症患者の70%は生ガキを食べて発症しています。
ノロウイルスに感染したら?
秋から冬にかけて発生する急性胃腸炎、食中毒の原因となるウイルスを「ノロウイルス」と呼んでいますが、歴史は意外と浅くて「ノロウイルス」の名称がついたのは2002年の事です。
ノロウイルスの感染力は非常に強く、感染したら人の体内ですごいスピードで増殖します。感染時に100個であったウイルスも一日経てば1万から10万個に増殖します。
ノロに感染したら早くて24時間以内に突然の吐き気に見舞われます。本当に突然なんでびっくりします。
感染してから24時間~48時間が潜伏期間となり、発症すれば止めどないおう吐と腹痛と下痢に「もうダメだ」と思わされます。
38℃の発熱も伴いますが、意外とあっさり回復して「ダメじゃなかった」と安どするわけですが、症状には個人差があります。
通常、おう吐は2~3回で収まるとされていますが、一日に何度も吐いてしまうケースもあります。吐き気が収まったと思えば下痢が続き、脱水症状を起こしてしまう事も。
脱水症状を起こさないように、経口補水液やスポーツドリンクで塩分と水分を補給しながら安静にしていましょう。
大人は重篤になる事はまれですが、もしひどい脱水症状を起こしている場合は点滴などの処置が必要となります。
感染したらすぐに医療機関を受診して、医師の指示に従いましょう。
素人判断で下痢止めを服用したりするのは危険です。身体はウイルスを体外へ排出するために下痢やおう吐の症状を起こしています。強い下痢止めなどで症状を止めてしまうと、ウイルスが腸管の中に溜まってしまい回復が遅れたりします。
同居している家族がいる場合、出来る限り接触は避けましょう。
接触感染・飛沫感染でウイルス感染は拡大します。汚物の処理などはマスクと手袋を装着してもらいましょう。
トイレを使用した際にはトイレの蓋をしめて水を流しましょう。下痢便の中には恐ろしい数のノロウイルスが生息しています。
ドアノブや蛇口などの消毒も家人にお願いするか、自分自身で出来そうであれば使うたびに消毒しましょう。
治療期間は?
ノロウイルスは子供から高齢者まで幅広い年齢層で発症します。
特効薬はないため、症状を和らげる対処療法になりますが、普段健康な大人であれば1~2日も耐え抜けば回復します。後遺症が出る事もありません。
免疫力が強ければ下痢やおう吐の症状が出ずに回復する場合もあります。
しかし、5歳以下の幼児・乳幼児や高齢者は免疫力が弱いため、重い症状が出たり病状が長引いたりします。
特に「脱水症状」を起こしやすいので、子供や高齢者が発症した場合は注意しましょう。
ウイルスの潜伏から発症の期間は短いので、3日もすれば症状は回復します。しかし、感染力は発症から1週間は保持されるので、症状が回復しても感染しないわけではありません。
周りに感染させないように手洗い・消毒・マスクの着用など、細心の注意を払いましょう。
登校・出社はできる?
以前いた会社で「カキフライにあたった」という事務の女の子がいましたが、コンビニのトイレをはしごしながら出社を試みたものの、とうとう断念してそのまま病院へ向かいました。
今思えばノロウイルスだったなと思うのですが、当時はノロウイルスなんて病名はなく「食中毒」で一括りにされていた時代です。貝にあたったくらいで仕事は休めないと思ったんでしょうが、出社していたら社内感染していたかもしれません。
ノロウイルスに感染したと診断されても、一般的には「出勤停止期間」は定められていません。実は学校にも「登校停止」の処置はありません。
学校保健安全法に指定される「学校感染症」に含まれていないため、法律上での決まりはないんですね。会社・学校単位で規定がある場合がありますので、問い合わせてみましょう。
症状が改善されれば登校・出社は可能になりますが、先に書いたように「感染力」は発症から1週間あると考えておきましょう。
一週間を経過せず集団生活の場に戻る場合は周りに感染させないために、マスクの着用と手洗いを徹底して集団感染を防ぎましょう。
まとめ
ノロウイルスは乾燥や熱にも強いうえに自然環境下でも長期間生存が可能です。 感染力も非常に強く、少量のウイルスでも感染して発症します。
汚染された二枚貝からの発症が多い病気ですが、85℃以上の熱で1分以上加熱すればウイルスは死滅します。貝の生食は避け、十分に加熱して食すようにしましょう。