不動産投資物件を購入するにあたって一般的に販売されている物件とは別に競売で落札できる物件というのがあります。
一般的に販売されている物件は仲介業者や不動産屋が販売していますが競売は裁判所が行う入札に参加して購入する方法になります。
不動産投資物件を競売で購入するには?
そもそも競売とは一般的に『ケイバイ』と呼ばれます、キョウバイという方もいますが不動産屋はケイバイと呼ぶことが多いです。
競売とは銀行などの金融機関が借金の担保として物件を処分する権利を行使したものになります。
つまり、不動産物件を持っている人が購入代金などを借り入れた場合に金融機関は担保権を設定します。
返済が滞るなどの一定条件を超えて返済されない場合は勝手に売却出来てしまう権利です。
銀行は所有者の同意を得ずに勝手にセリに出せます。
当然セリにかけられた物件は通常に売買される価格より安くなってしまう場合が多いですがそれでも金融機関など債権者は返済されない債権の回収を図ります。
購入するにあたっては競りが行われるスケジュールに従って行動します。
1物件の公示
入札開始の4週間前に売却される不動産物件明細書・現況調査報告書・評価書等 3点セットと呼ばれる資料が裁判所の閲覧室に設置されます。
設置された資料は入札希望者が自由に閲覧できます。また、競売情報が載っているBITというサイトにおいても確認できます。
2入札開始
期間は1週間で買い受けたい物件に入札する期間です。入札する場合は売却基準価格の20%を保証金で提供しなければなりません。
保証金は落札できなけれは返金されます。
落札できた場合は購入代金の一部となります。
また、一度提出した入札書は訂正したり取り消す事が出来ません。誤字脱字、入札金額の間違いなどが無いように十分にチェックが必要です。
3開札
入札が終わって1週間後に裁判所の開札場で執行官によって行われ最も高い価格を付けた人が最高価買受人となり、落札人となります。
ですので競りといってもオークション形式ではないので自分が入札する金額での1発勝負になります。
他に入札者がいなければ自分の付けた金額で落札できますし他に高い札を入れた人がいればその金額で落札となります、後からやっぱりこの金額でとは行きませんので入札価格の読みが非常に重要となります。
4売却許可決定
約1週間後に落札人は裁判所の審査を受けて買受人となります。
競売は事件番号として扱われる事案なので事件と関係がある個人、法人の場合は許可が下りません。
5代金納付期限通知書の送付
売却許可決定から利害関係人等からの抗告が無い場合売却が決定し確定の日から1か月以内が代金納付期限となり期限までに代金を納付しなければなりません。
6代金納付
銀行融資を利用する場合は所有権移転と同時に抵当権設定が出来るように配慮されています。
代金納付の1週間前までに裁判所にその旨を伝えましょう。
融資を利用する場合は入札前に融資の確約をもらっておかないと大変なことになります。
落札したけど買えませんは通りません、その場合は保証金が没収されて3年間の入札参加停止処分となってしまいます。
7所有権移転登記
代金納付時に買受人は不動産の登録免許税を納税します。
裁判所は登記所に対して所有権の移転登記及び抵当権の抹消登記をする様に嘱託します。
抵当権の同時設定がある場合は司法書士に登記嘱託書が交付されます。
抵当権設定を必要としない場合は司法書士の費用が必要ないので通常の売買に比べて各種費用や不動産売買仲介料が発生しないので購入諸経費は安いです。
競売を求めた債権者は競売を行う為に裁判所に経費的な物を支払ますが買受人は払わないのでお得です。
8不動産の引き渡し
買受人は不動産を占有している者に対して引き渡しを求める事が出来ます。
ただし、代金納付から6か月以内に申し立てないといけないので注意しましょう。
また賃借権等の問題が発生する場合がありますが以前に比べて買受人の権利が守られているのでトラブルは少なくなっています。
競売で購入するメリットデメリット
不動産投資物件を競売で購入するメリットとしてはやはり安く買える事でしょう。
逆にデメリットとしては物件の入札前調査が難しい事が挙げられます。
中が見られない事がほとんどですので一般的な物件よりも注意しなけらばならない点が多くリスクが潜んでいる可能性は高くなります。
競売が始まるにあたって3点セットと呼ばれる資料が公開されます。
物件概要は単純に建物のデータだけですので問題ありませんが現況の確認が記載されている部分が必ず正しい情報であるか限らずにそういった部分での情報の誤認錯誤等では裁判所は落札の取り消しに応じません。
全てが入札者の自己責任となります。
余談になりますがこの現況調査報告書が非常におもしろい読み物になっています。
不動産マニアにはたまらない他人の人生の一部を垣間見る事が出来て面白いです。
不動産調査ドキュメンタリー的な読み物になっている場合もあり、一度しっかり目を通してみましょう。
次に占有者がいる場合ですがこちらはその物件の所有者がそのまま住んでいることが多くその人たちの行き先を用意したりしなければなりません。
どうしても出ていかない場合は強制執行しかありませんが住人も分かっているので金額面で折り合いさえつけば面倒な手続きや費用は抑えられます。
やりやすくなってきたという事は参加者も増えているという事です。
比較的物件が新しかったり、立地が首都圏の場合は一般売買より高値になる事もあり状態を見極められる経験が無いと割高になってしまう事があります。
競売で入札する流れ
不動産投資物件を競売で入札する流れとしてはまず最初に3点セットを手に入れなければなりません。
実際に裁判所に行っても良いのですがBITという不動産競売物件情報サイトからダウンロードする事が出来ます。
サイトの使い方はサイト内にも説明がありますが難しくありませんのでサイトからダウンロードする方が効率が良いです。
3点セットについてまずは物件明細、こちらで期間入札の公告と物件目録を確認します。
物件のデータになりますでしっかりと確認しましょう。
次に物件明細になります、こちらで不動産を買い受けた場合の引き継がなければならない権利等が記載されています。
こちらはなしとなっている場合であれば良いのですが法定地上権が設定されている場合などは第三者の権利が発生している場合もあるので注意が必要です。
現況調査報告書は執行官が各物件について土地や建物の形状やその占有状況を調査して作成した物になります。
調査時点での状態になります。
主に『物件状態』『関係人陳述』『執行官の意見』『調査過程』になります。
占有状態については必ず確認し、誰がどのように占有しているか確認しましょう。
建物内写真が掲載されている場合はその写真から物件の状態を判断する材料を見つけましょう。
建物内の写真を見ればどの様に生活されていたかなどが想像出来ます。
推測のもとになる資料ですのでくまなく目を通します。
占有者との関係などで写真が撮れない場合等は注意しましょう。
後のトラブルが予測出来ます。
評価証に関してはプロが算出したデータになるので厳しめに見られている評価になります。
評価額については銀行の評価額に近い事も多く、不動産鑑定士が評価しているので評価の根拠になる資料としても有益です。
実際の入札については個人であれば住民票、法人であれば登記簿謄本が必要となります。
書類の記入方法などは実際に裁判所に行って聞くのが間違いないです。
しっかり教えてもらえます。
また、保証金を入金してその振込用紙を入札用紙に貼らなくてはならないので入札までのスケジュールには余裕を持ちましょう。
まとめ
競売は安く買える可能性がある反面リスクも伴います。
一番は競売でも融資が付くくらいの信用を積み上げれば非常においしい市場になります。
業者でない限り個人が現金一括で競売物件を取得するのは難しいですし、融資が取れるくらい信用が付いている人が参加すると非常に条件が良い購入先になるのではないでしょうか。