節分に豆をまく風習は、中国で行われていた鬼を追い払う儀式・追儺(ついな)によると伝えられています。
節分の豆まき・鬼は外?内?
「鬼は外、福は内」これが一般的な節分の掛け声でしょう。
まず先に家の中の邪気を外に出してから、幸福を授けてくださる神様を迎え入れるので「鬼は外」が先であり、「福は内」が後です。
しかし、地域やお宅によっては全く違う掛け声になるんです。
全国には鬼をお祀りする神社やお寺が数多く存在します。こういう所では、「鬼は内、福は内」となります。
千葉県の成田山新勝寺では「福は内」としか掛け声をかけません。ご本尊の不動明王様の力が強大なため、鬼は近寄れないんです。ですからあえて鬼を外に払う必要がないんですね。
鬼頭さん、鬼塚さん、九鬼さんなど、苗字に「鬼」の字を持つお宅は「鬼」を追い出してしまうと逆に縁起が悪いという事で、「鬼は内」の口上が多いようです。
昔から商いを営んでいる商家では、「鬼」=「大荷(おおに)」に通じるそう。
つまり、「おには外」=「大荷は外」と捉えるため、大きな荷物が入ってこないと商売にならない事から「鬼は内」と言います。
全国各地、様々な鬼事情から掛け声も様々です。
なぜ鬼に豆?
昔から生命力の象徴とされる果物や穀物は邪気を払うとされてきました。そのため、豆をまくことで邪気を払って福を呼び込もうと考えられたんです。
現代の節分は平安時代初期には「追儺(ついな)」の儀式として行われていました。当時は豆だけでなく、お米や麦もまいていたようです。
そんな中で、「収穫が多い」「投げやすい」「投げた時の音が良い」などという理由から、豆が現代まで投げ続けられています。
また豆=魔目に通じ、鬼の目を打つとされています。
魔滅=まめ とも言い、魔を滅ぼすアイテムとも考えられています。
一般に、豆まきに使う豆は炒った大豆を使います。必ず炒った豆ででなければならない理由があります。生の豆で邪気を追い出した場合、拾い忘れた豆から悪い芽が出てしまう=縁起が悪いとされているからなんですね。
地方によっては炒った大豆ではなく落花生をまく所もあります。
東北から北へ行くほど「落花生率」が上がるようですが、我が家も一時、落花生を豆まきに使っていたことがありました。
というのも、後片付けが楽だからというのが一番の理由。大豆をまいていた時期は、うっかり踏みつぶして惨事になる事が多く、しかも拾っても捨てるだけでなんだかもったいない。しかし一度まいたものは衛生的に食べることに抵抗が・・・となると落花生は優れものだったんですね。
今では個別包装された大豆を小袋のまま投げています。回収した後は福豆として家族みんなで食べています。
鬼を避けるには豆でなくてもいい?
鬼を払うのは豆だけではありません。
ヒイラギの枝にイワシの頭を刺して、玄関や台所に飾ります。
ヒイラギは昔から魔除けの木として知られています。節分でも、鬼退治に一役買っているんですね。
ヒイラギの葉はノコギリのようにギザギザにとがっています。これが鬼の目を刺す事により、鬼を家に近づけさせないんだとか。この葉は「鬼の眼突き」とも呼ばれます。
イワシの頭は悪臭を放つことで邪気が入り込む事を防ぐとされています。
焼嗅(やいかがし)と呼ばれる風習です。
最近ではほとんど見かけなくなってしまいました。
まとめ
豆まきのあとに「福豆」として年の数だけ食べる豆。これから一年間の厄よけを願うので、実際の年齢よりも一つ多く食べるのが正しいようです。美味しいけど歳が増してくると、ちょっと食べきれない・・・となりますよね。
食べきれない福豆にはお茶をかけて「福茶」として頂きましょう。