毎年2月3日の節分の日には家中に豆まきをして鬼を追い出し、一年間の無病息災を願います。恵方巻も準備して、家族全員で同じ方角を向きながらひたすら無言で口を動かし続けるという異様な光景にもすっかり慣れました。
節分の日!
節分は立春の前日に行われます。毎年2月4日前後が立春なので、その年によって日はずれますが、2月の2日~4日の頃に行われます。
「節分」は日本独自の伝統行事ですが、豆をまく風習は中国から伝わったとされています。
ご近所から、豆まきを任命された子供たちの「鬼は外、福は内」の元気な声が聞こえるとほほえましい気持ちになりますね。
我が家も家中に豆をまくのは、娘の役目です。散らかさないため個包装の豆を袋ごと部屋に投げ込み、即座に回収してはまた投げるのが我が家の節分の豆まきです。
豆をまき、邪気を追い払う伝統行事に豆まきを必要としない一族がいる事をご存知ですか?
私も恥ずかしながら今年の2月に知ったばかりです。
娘の同級生に渡辺さんという女の子がいて、「その子の家は豆まきしないんだって」と言う娘。
まあ、各ご家庭の事情もあるでしょうからと思っていたら「名前が渡辺だから豆をまく必要がないんだって」と。
子供の頃から毎年豆をまくものだと思っていた伝統行事を免除されているお家があるなんて!と衝撃を受けました。
「渡辺さん」は豆まき不要?
平安時代の中期、源頼光につかえた四天王の一人に「渡辺綱(わたなべのつな)」という武人がいました。
大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)の退治や、京都一条戻橋で茨木童子(いばらきどうじ)の腕を切り落としたという逸話は有名です。
多くの鬼と共に京都の大江山を荒らしまわった酒呑童子を退治した渡辺さん。後日、酒呑童子の配下であった茨木童子が渡辺さんの元に仇討ちに来ますが返り討ちにしてしまいます。
渡辺さんはこの時茨木童子の腕を切り落としたのですが、茨木童子は「もう悪さはしない」と約束し腕を取り戻しました。
鬼たちは渡辺さんの強さを恐れるようになり、渡辺一門とワタナベの姓を持つ子孫にも近づかなくなったと言います。
いわば鬼の歯が立たない、鬼の天敵が「渡辺さん」というわけです。
このように「渡辺」という名前だけで鬼は恐れ、近づかないという事から「渡辺さんは豆まき不要」だと言われています。
ちなみに渡邉や渡部や渡邊、和田鍋であっても「ワタナベ」でさえあれば鬼は逃げてゆくそうですから、豆まきはしなくても大丈夫ですよ。
豆まき不要は「坂田さん」も!
どうやら鬼の天敵は「渡辺さん」だけではありませんでした。「坂田さん」も鬼に一目置かれているため豆まきは不要です!
「坂田金時(さかたのきんとき)」に由来していますが、彼も渡辺綱と同じく源頼光につかえた四天王の一人です。
誰もが知っている昔話で有名な「金太郎」さんの成人後が坂田金時だとされています。金太郎の物語は鬼退治を終えた後、都の武士につかえましたとさ。で終わります。
この「金太郎がつかえた都の武士」が源頼光であり、金太郎は坂田金時と名前を改め、四天王の一人としてつかえました。
この坂田金時は金太郎時代、足柄山で熊と相撲をとっていたといいますが真偽はともかく、力自慢ではあったようです。
足柄峠で源頼光と出会い、その力量を認められて家来に召し抱えられました。
そして渡辺綱とともに大江山の酒呑童子を退治したことにより、「ワタナベとサカタは怖い」と鬼たちに恐れられるようになりました。
まとめ
節分の日に豆まき不要というのも若干寂しい気もしますが、「鬼」が寄り付かないというのはうらやましい事です。
現代では鬼=邪気と考えられています。
ワタナベさんもサカタさんも、悪いものが寄ってこない大変縁起の良いお名前という事になりますね。