子供が小学校に上がる頃までは色んな感染症に悩まされますよね。何度か感染することでウイルスや菌に対する抗体もできていくので、発病してほしくないけど免疫は欲しい!どうせ発症するなら、できるだけ軽度であってほしいですよね。
風邪と間違えやすい?溶連菌!
冬と初夏の年2回、流行シーズンを迎える溶連菌。
A群β溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる感染症です。
発症すると喉の痛みや発熱から始まります。
普通によくひく風邪と似た症状のため「風邪だろう」と判断してしまいがちですが、受診して検査してみたら溶連菌だったという事がよくあります。
喉の痛みと発熱の他に、頭痛や咳、倦怠感、腹痛などが見られ、風邪の症状とよく似ているんです。
溶連菌というと舌の表面にイチゴのようなブツブツができる「イチゴ舌」という症状が特徴的ですが、この症状が現れない場合もあります。
また、発熱と同時に全身に赤く発疹が出る事もあります。股関節部分や脇などに特に強く出る傾向がありますが、これも必ず出るとは言えません。
冬の時期の感染は特に病気の種類が多い時期でもあるため、お子さんの調子が少しでも悪そうであればすぐに医療機関を受診しましょう。
普段の風邪の時よりも喉の痛みをうったえる傾向があるので、その辺が一つの目安になるかもしれません。喉が真っ赤に腫れあがって白い斑点が見られたら、溶連菌を疑ってよいでしょう。
菌は特に喉や皮膚に感染し、咽頭炎(いんとうえん)や扁桃炎(へんとうえん)を引き起こして激しい喉の痛みや発熱を誘発します。猩紅熱(しょうこうねつ)の原因ともなるので注意が必要です。
溶連菌!合併症は?
溶連菌はかつて「猩紅熱(しょうこうねつ)」と呼ばれた事もありました。法定伝染病に指定されて「怖い病気」と認識されていましたが、抗生物質が開発されたおかげで今では治療の容易な病気になりました。
喉と皮膚に感染すると前述しましたが、皮膚に感染した場合「とびひ」の原因となります。火事の飛び火のようにあっという間に広がる事から名前がついたというだけあって、接触感染で本当にあっというまに広がってしまいます。
アトピー性皮膚炎を持っている場合も、溶連菌によって皮膚炎が悪化する恐れがあります。
一番怖いのは細菌が原因で引き起こされる合併症ですが、きちんと治療すれば心配はありません。
溶連菌をきちんと治療できていないと、危険な合併症を引き起こす可能性があります。
・リウマチ熱
溶連菌に感染してから数週間後の発症します。発熱や関節痛などの症状が出ます。
・急性糸球体腎炎
溶連菌に感染後、1~2週間後に発症します。特に子供に多く見られる合併症です。血尿や蛋白尿などの症状が出る腎臓の病気です。
治療のため入院をする場合もあります。
・アレルギー性紫斑病
全身の細い血管が炎症を起こして出血しやすくなります。この病気ははっきりとした原因はつかめていませんが、先行感染の感染症に溶連菌が挙げられています。
治療と予防
溶連菌の治療は早期に医療機関を受診し、有効な抗生物質を飲みきる事で簡単に治癒します。
医療機関で処方された抗生物質は必ず最後まで飲みきりましょう。
アレルギーが無ければペニシリン系の抗生物質が処方されます。薬の服用から2~3日もたてばのどの痛みも緩和されます。
諸症状にも改善が見られますが、体調が良くなったからといって薬の服用を止めてしまうと菌を体内に残してしまいます。
合併症を引き起こす原因となるので、お医者さんに支持された期間・容量・服用回数をしっかり守って服用を続けましょう。
溶連菌の主な感染経路は「飛沫感染」です。インフルエンザウイルスなどと同じです。
ただ、溶連菌にはワクチンはありません。他の感染症の予防も兼ねて、マスクの着用・うがい・手洗いを心がけましょう。
まとめ
ウイルス性の風邪などと違い、細菌性の病気は自然治癒はしません。
そして溶連菌は免疫がつきにくいため、何度でも感染します。大人になるにつれ免疫も出来ていくので、小さいうちに感染したら早めに対処してあげましょう。
症状が軽めで「風邪かな?」と思っても様子を見るのではなく、すぐに医療機関を受診しましょう。