数年前から「御朱印」を集めることがブームとなり、「御朱印ガール」なんて呼ばれている若い女性の姿も多く見受けられます。我が家にも御朱印ガールがいますが、きちんとルールとマナーを守ってお参りするようにと教えています。
続く御朱印ブーム。そもそも御朱印とは?
御朱印というのは、元々は寺社に写経を納めた証として頂けるもの、「受付の印」であったとされています。現代では、もちろん納経をされる人もおりますが神社仏閣にお参りした際の「参拝の証」として頂けるものという認識になっていますね。
御朱印が始まったのは神道と仏教の境がない神仏習合の時代だったため、寺社にも神社にも「御朱印」という習わしが残っています。
現在、御朱印は参拝者に向けて押印され、寺社であればご本尊様のお名前とお寺のお名前を墨書きしていただけます。神社であれば印だけのところもありますが、御祭神のお名前を入れて下さる神社もあります。「お心で」と言われれば300円。高くても500円で頂けるという気軽さ。なにより、朱色の印に達筆な墨書きが映えて芸術性も高いことから今日のようなブームにもなりました。
ルールとマナーは大丈夫?
老若男女問わず御朱印帳を片手に神社仏閣を参拝して廻る。江戸時代にブームとなったお伊勢参りのようだと思った事があります。たくさんの人が神社仏閣に参拝に訪れることは、とても良いことだと思うのですがルールやマナーは大丈夫ですか?
基本的なことですが、参拝をせずに御朱印だけを頂こうとするのは根本的に間違っています。参拝の証として頂けるものです。お寺さんによっては「本来は納経して頂くものですよ」というお話を頂く事もあります。神様・仏様にご挨拶もせずに授与所へまっしぐらに向かうのでは、せっかくのご利益も台無しです。
御朱印帳を持参していなかった、書くページが終わってしまった、そんな時は「半紙で頂けますか?」と聞いてみましょう。こころよく半紙に書いて頂けます。手帳やノートを出してお願いすることは失礼にあたりますので気を付けましょう。
私はまだ一度も遭遇していませんが、お寺と神社で御朱印帳を分けていないとお断りされる所もあります。もしくは神社で授与して頂いた御朱印帳をお寺さんで出したとか。そんな時はごねたりせずに半紙で頂いて帰りましょう。それぞれの場所にそれぞれのルールが存在するのは当然です。最初からお寺用と神社用で1冊ずつ持っておけば心配いりませんね。
今や本やネット上で様々な御朱印を見ることができるわけですが、参拝する日によって書き手が変わる事は当然あります。「これと同じに書いてください。」「これを書いた人に書いてほしい。」などという無茶な注文はいけません。
参拝の作法は?
私たちは神様のお宅へお邪魔するわけですから、入り口できちんと頭を下げて挨拶することから始めます。山門・鳥居をくぐったら自己紹介をはじめ、手水舎で身を清め、お参りします。参道の真ん中は神様の通り道なので端を歩きましょう。今はお参りの仕方を本堂・本殿にわかりやすく説明書きで置いて下さっています。当然ですがお寺と神社ではお参りの作法は違いますし、お寺さんによっては真言を唱えるよう書かれているところもあります。それぞれに従うようにしましょう。
お参りののちに授与所で丁重に御朱印を頂きましょう。
場所によっては御朱印帳を渡すときに「お参りの間に書いておきますので」と言われたりします。すでにお参りは終えていても、境内をゆっくり見て回るなどして待ちましょう。なかには国宝に指定されていたり、重要文化財に指定されていたりする歴史的にも重要な建築物や像を拝観させていただける場所もあります。くれぐれも汚したり壊したりしないようにしましょう。
全国には8万ほどの神社がありますが、それに対して宮司さんは1万人ほどと言われます。神社によっては複数のお社を兼務していて、なかなか宮司さんにお会いできないところもあります。お会いできたらまさに神様の采配。兼務されている他のお社の御朱印を一度に頂くことが可能です。そのあとで全てお参りに廻るか、境内に遥拝所が設けられている場合は遥拝所にて参拝しましょう。
何社も兼務されているなら尚更、宮司さんが不在である事は仕方のない事です。中には「いないとはどういう事だ」と怒りの電話やFAXを送り付ける輩もいるようですが、とんだお門違いです。そんな人はその辺の観光地で無人でも集められるスタンプラリーでもしていらっしゃれば良いのに。
まとめ
「スタンプラリーじゃないんだから」という憤りの声をよく聞きますし、ネット上でも目にします。もちろん神社仏閣が大好きで、お行儀よく丁寧にお参りされている方もたくさんおられます。御朱印を集めたい気持ちももちろん理解できますが、神仏への畏敬の念を持ってお参りし、御朱印と共にご利益も頂きましょう。頂いた御朱印は神仏とのご縁が結ばれたという証であり、ご利益です。御朱印帳は帰宅したら神棚にあげましょう。