毎年冬になると風邪などの「呼吸器感染症」が流行します。風邪の原因とされているウイルスは数百種存在するといわれています。免疫もあり、普段健康な大人ならさほど気にしない風邪ウイルスでも、ちいさな赤ちゃんにとっては重篤な症状を引き起こす事があります。
RSウイルスってどんな病気?
「RSウイルス」と言われてもなかなか耳になじみのないウイルスですよね。風邪ウイルスの一種ですがとくに呼吸器系等に影響を与えるウイルスで、乳幼児が感染しやすく2歳ころまでには100%の子供が感染すると言われます。
RSウイルスに初めて感染すると症状が重く出ます。重症化してしまうと肺炎や細気管支炎になってしまう事があるので注意が必要です。特に2か月から6か月の子供は重症化しやすいとされていますが、子供によっては普通の風邪程度ですんでしまう子もいます。
症状としては、鼻水・発熱・咳の3つですが、熱は38℃~39℃と高めです。鼻がグズグズしているようなら注意深く様子を見るようにしましょう。重症化する前に対処することが重要です。というのも、RSウイルスにかかる子供の40%が細気管支炎を起こしています。ゼイゼイ、ヒューヒューとぜんそくのように苦しそうな呼吸音が特徴です。実際、ぜんそくに間違われることもありますし、重症化してしまうと後遺症で本当にぜんそくになる子もいます。
生まれつきぜんそくを持っている子は、肺炎や突然呼吸が止まる無呼吸発作といった合併症を引き起こしてしまうことも…。
生後一か月未満の赤ちゃんが感染すると、最悪の場合突然死に至ることもあります。インフルエンザよりも死亡率の高い危険なウイルスなんです。
秋の終わりから春にかけての長期間に流行するので注意が必要です。
RSウイルス・予防するには?
RSウイルスに対してはお母さんにもらった免疫では感染を防げません。とにかく風邪ウイルスを赤ちゃんに近づけない事です。外出時にはマスクを着用し、人込みと不要な外出は避けましょう。
外出から帰ったら手洗いとうがいを終えてからでないと赤ちゃんには近づかない事です。兄弟がいる場合は特に言い聞かせましょう。風邪をひいてしまったら完治するまで赤ちゃんとの接触は避けましょう。
RSウイルスは消毒薬に弱いので、ミルトンやイソジン、消毒用アルコールが有効です。
感染すると4~6日間の潜伏期間を経て、風邪のような症状が続きます。鼻水が出て軽い咳が出た後に発熱します。3人に2人は軽症のまま完治しますが、油断はできません。免疫力も体力も弱い乳児ですから、風邪かな?と思ったらすぐに受診しましょう。
素人の自己判断は禁物です。どんな些細な症状でも専門のお医者様に判断をあおぐというのが一番の安心です。
RSウイルス・治療法は?
RSウイルスに抗生物質は効きません。特効薬がないため、症状を軽く抑えるための治療法がとられます。二次感染のおそれがあるときは抗生物質を使うこともあります。
普通の風邪と同様に、栄養補給、水分補給、保温をして安静にしているしかありませんが重症化した場合には入院が必要となることがあります。
発熱は上がったり下がったりを繰り返して5日くらいは続きます。お医者様によっては解熱剤を処方してくれますが、薬で一時的に下がってもまた上がります。39℃の高熱を一時的に38℃まで下げる程度のものと思っていた方が良いでしょう。
まとめ
一度感染しても免疫ができるまで何度でも感染します。でも徐々に免疫ができて症状も軽くなりますし、3歳を過ぎれば「普通の風邪」と診断されます。そうなるまではしっかり守ってあげましょう。