私たちの身体には「免疫」という働きがあります。ウイルスに感染した時にこれを排除するための「抗体」という物質をつくり、次回からこのウイルスに感染しにくくする働きです。この身体の免疫機能を利用するのが「ワクチン接種」です。
子供のインフルエンザ予防接種
毎年嫌がる子供を説き伏せて受けるインフルエンザ予防接種ですが、13歳前なので2回の接種が必要です。
インフルエンザ予防接種は生後6ヵ月以上から13歳未満の小児、及び高齢者の場合、2回の接種が推奨されています。13歳以下の子供やお年寄りは免疫力が不安定です。そこで免疫をしっかりつけさせるために「ブースト効果」を使うんです。
例えば、一度目の接種で体の中の免疫力が5まで上がるとします。この免疫力は1ヵ月も経過すれば消えてしまうのですが、消えてしまう前に2度目のワクチンを接種することによって1回目で「5」であった免疫力が2回目の接種で「10」以上に跳ね上がります。
インフルエンザのワクチンでなくとも「2回接種」のワクチンがありますが、いずれも免疫を獲得するための「ブースト効果」です。免疫増幅効果と呼ばれます。
大人は一回の接種で良いとされていますが、ブースト効果を考えれば2回接種の方が免疫力は上がります。
子供に限らず、大人も2回接種の有効性が確認されています。
高校・大学受験を控えていたり、仕事を休めなかったり、大事な行事があったり、喘息を持っていたりと事情はそれぞれありますが、「インフルエンザで寝込んでる場合じゃない!」という大事な時期であれば念のため2回のワクチン接種をしておいた方が良いでしょう。
ワクチンの接種期間は?
ワクチンを接種すると身体に「抗体」が作られて、予防効果が発現します。しかし、効果を発揮するまでには2週間ほどかかるため、予防接種したからといって油断していると抗体が出来上がる前にウイルスに感染することもあり得ます。
流行を先読みしてワクチンの接種をすることが望ましいわけですが、毎年10月になるとインフルエンザの流行予想が発表されます。
例年通りだと12月から流行りだし、1月から3月が流行のピークと予想されます。まれに一ヵ月遅れで流行のピークがやってきたりしますが、大きくずれ込むことは滅多にありません。
流行前に免疫をつけたいなら1回目を10月中旬には済ませましょう。2回目の接種までの間隔は1週から4週と言われていますが、4週空けた方が確実です。流行のピークにあわせるなら1回目を11月に入ってから接種し、遅くも12月には接種を終えているようにしましょう。
受験生の場合は11月中旬に1回目を済ませ、12月上旬に2回目を済ませておけば受験本番には安心して臨めるはずです。
効果の期間は?
インフルエンザワクチンは接種の2週間後から効果を発揮し始めます。早めに予防接種を受けておかないと、流行が始まってからでは抗体が出来上がる前に感染することもあります。またすでに感染していた場合は残念ながら手遅れです。
インフルエンザの潜伏期間は1週間ほどですが、この潜伏期間中に予防接種を受けても発症を防ぐことはできません。
予防接種から一ヵ月後が抗体が一番のピークを迎え、3ヵ月後くらいから徐々に衰えていきます。5ヵ月もたつと効果は消えてしまいます。
予防効果を発揮するまでの2週間も含めて上手に予防接種の予定を立てましょう。
毎年、早いうちからワクチンの予約が殺到してシーズンに入る前は特にワクチンが不足しているなんて話を耳にします。医療機関には早めにワクチン予約の連絡をしておきましょう!
まとめ
ワクチンによってできた抗体は次のシーズンまで持続することはありません。そのため、毎年の接種が必要になってきます。「副作用」が心配という声をよく聞きますが、基本的にはそれほど重度の副作用は出ません。しかし、ごく少量ですが卵の成分が含まれています。卵アレルギーのあるお子さんはお医者さんに相談してみた方が良いでしょう。